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2017年10月の最新投稿
ベテランこそ乗ってほしい新型スーパーグレート
2017年10月18日 試乗
三菱ふそう スーパーグレート トラクター体験試乗
2017年にモデルチェンジされた三菱ふそう「スーパーグレート」のトラクターが正式にお披露目された。単車タイプとダンプタイプが発表されたときに予告はされていたものだが、10月に報道陣向けの試乗走行会をかねた記者発表が行われた。
場所は、三菱ふそうの喜連川研究所(栃木県)のテストコースだ。
●トラクターのキャビンは365色から選べる
トラクタータイプは、エンジン諸元や内外装について単車タイプのそれを踏襲している。トルクフルな6R20(排気量10.7L)、6S10(同7.7L)エンジンラインナップは変わらない。ダウンサイジングエンジンながら、12速AMT シフトパイロットとのコンビネーションにより、実用パワーと経済性を両立させたスーパーグレートの特徴はそのままだ。レーン逸脱ワーニング、衝突被害軽減自動ブレ―キ(ABA4)、車間保持・停止や自動発進(停止3秒以内)を含めた高速道路や渋滞路での運転を楽にしてくれるプロキシミティ・コントロール・アシスト、車内カメラでドライバーの注意力低下を知らせてくれるアテンション・アシストといった機能も、単車タイプと同様に設定される。ただし、トレーラーの長さを固定できないため、左側の歩行者や自転車などを検知するアクティブ・サイドガード・アシストは搭載されなかった。
トラクタータイプの発売に際して新しくなったのは、次の3点だ。
・カプラ―がメーカーオプション化
・カラー塗装対応(365色)
・内外装のリモート制御が可能なスマホアプリ
トレーラーを連結するカプラ―がメーカーオプションとなり、ソーシンおよびヨースト製で1軸の標準的なものなら納車時に取り付けられおり、購入してからの架装が必要なくなる。また、メンテナンスや保証がメーカー対応となるのもメリットだろう。キャビンの塗装も注文時に365色の中から好きな色を選べるようになった。これも、納車後に塗装手配する手間がはぶけるだろう。会社ごとの色にあうもの、気に入った色があれば、メーカーの焼付塗装の仕上がりが手に入るのもうれしいポイントだ。三菱ふそうによれば、CIカラーが決まっているような会社でも希望に添えるような色揃えにしているという。また、今後色の追加も検討しているそうだ。
スマホアプリは、三菱ふそうが提供しているテレマティクスサービスTRUCK CONNECTに対応したアプリで、メータークラスタ中央のマルチファンクションディスプレイに表示される車両情報の確認の他、車内照明のON/OFF、オーディオのコントロールなどがスマホからできる。キャビン後部でくつろいだり仮眠しているときもラジオや照明の操作ができる。
さらにヘッドライトやマーカー類の点灯、エアサスの車高調整のリモコンとしても機能する。玉切れチェックも一人でOKだ。
リアビューカメラはキャビン後ろに取り付けることができるが、この映像はカプラー部分がちょうど映るので、連結作業のときにメータ-中央のディスプレイで確認しながら作業が可能だ。そのほか、タイヤのエア圧や温度を監視するTPMSが標準装備となった。これもマルチファンクションディスプレイと、前述のスマホアプリでデータを確認することができる。
●ADAS機能はほぼ踏襲
テストコースで行われた試乗は、高速周回コースで、前走車の後ろを走りながらプロキシミティ・コントロール・アシストの機能を体験し、汎用コースでは坂道、バックの車庫入れ、パイロンのスラロームを行った。
高速周回コースでは、前走車が高速道路での通常走行と渋滞を想定した走りを行う。その後ろでプロキシミティ・コントロール・アシストをONにしたスーパーグレート トラクタがどのような走りをするかを試した。
最近、乗用車に増えているアダプティブクルーズコントロール(ACC)の使ったことのあるドライバーならわかると思うが、その動きやフィーリングと変わらない。センサーが前の車を認識したら、設定した速度内で前の車に合わせた速度調整と車間距離調整をしてくれる。アクセル操作が要らないので高速道路の走行がかなり楽になる。ハンドルと緊急のブレーキは自分で操作しなければらないので、あまり意味がないと思うかもしれないが、実際体験してみると、細かいアクセル操作に気を取られる必要がないので、ハンドル操作と、いざというときのブレーキ操作に集中できるので、長時間ドライブでの疲労が違う。同じ速度で走っていても、道路の勾配その他で微妙なアクセル操作は必要だ。無意識で行っているようで、やはり疲れはたまる。前の車が減速したり、渋滞中でストップアンドゴーを繰り返すときも、通常のアクセル操作、ブレーキ操作はクルマに任せることができる。ブレーキは設定車間距離での停止まで制御されるが、停止後3秒以内に前車が発進すれば、発進も自動で行ってくれる。3秒以上の停止の場合は、前の車に合わせてアクセルを少し踏んでやれば再び前車の追従走行が始まる。渋滞のストレスは相当軽減される。
●ベテランこそ乗ってほしい新型スーパーグレート
だからといって気を抜いた運転ができるわけではないが、逆に前方や周りの状況に集中した運転ができるし、疲労の蓄積が違うので、運行全体の安全性が高まる。衝突被害軽減ブレーキや最近の追従機能付きクルーズコントロールなど安全運転支援システム(ADAS)は、楽をするための機能ではなく、安全のための機能と思えばよい。
減速・停止は、ブレーキ制御の他、排気ブレーキ、リターダによる補助ブレーキ、AMTによるシフトダウンを組み合わせた制御だ。衝突被害軽減ブレーキの制御より細かいため、強制的な機械による介入感はあまりない。
だが、やはり前の車の挙動にもよるので、減速が一定でなかったりへんな動きをすると、ちょっと不快なブレーキングや加速をすることがある。ブレーキングは事故を起こすよりは止まってくれる方を優先させたいので多少のショックは問題ないし、そういうときは自分でブレーキを踏んで制御を解除すればいいだけだが、再加速の制御はもう少し改善してもよいかもしれない。とくにシフトアップのショックが若干気になった。運転席ではあまり気にならないが、運転に集中していない助手席の人は気になるかもしれない。これは、坂道発進時のAMTの制御でも感じたので、プロキシミティ・コントロール・アシストの問題というよりAMTのチューニングの好みの問題かもしれない。
とはいえ、通常の発進、加速、減速でのAMTの制御はスムースだ。ダウンサイジングしながらもトルク不足は感じないエンジンは乗っていて気持ちがいい(試乗車は、単車状態の車両と、10トンのウェイトを積んだセミトレーラーを連結した車両)。新しいスーパーグレートからは車内の静粛性も向上したが、トラクターでもその静かさは変わらない。サスペンション付きのシートも、ベルトと一体型になっているのでベルトがこすれる不快感もない。
AMTや前車追従クルーズコントロールなど、中途半端な制御が入るならかえっていらない、というベテランドライバーも少なくないだろうが、こういった機器の良さも悪さも知っているベテランこそ、その機能を使いこなせると思う。スーパーグレート トラクターを乗ってみてそんな思いを新たにした。2017年10月の投稿一覧
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プロフィール
中尾 真二
IT系技術書の企画・編集を経て2003年にフリーランスとして独立。
自動車関係では、パワートレーン、サスペンション、タイヤ、用品・部品関連技術の記事を中心に、主にウェブ媒体向けの取材・執筆活動を行っている。
専門は、ADAS、自動運転、AI、クラウドサービス、セキュリティなど、IT関連のバックグラウンドを生かした記事。 -
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