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橋本愛喜にも言わせて
【第7回】仕事に不安を感じているドライバー72.5%~リスキリングやっぱ大事よ~
2024年10月31日
1か月が早すぎて、
あれブルルさん一昨日原稿書いたばっかやんけ
となっております、ライター橋本です。さて、前回にもお知らせしました
「トラックドライバー大アンケート祭りvol.1」
ですが、
なんと250以上の回答をいただきまして。40問あるので「集まらないかもな」と心配していましたが
「楽しかった」という声まであり
第2弾も早く作らねばと思っています。第1回のアンケートもまだまだ増え続けているので、
多めに注文したステッカー400枚がなくなるまで
引き続き緩く募集しつつ、
キリのいいところでデータはすでに分析に掛け始めています。※ステッカーほしい方は是非アンケート答えてくださいv
https://forms.gle/SoP3tW9ZYMji782K8まだ全体の分析は終わっていないのですが、
今回はそのなかから、
ある1問についての回答と、
先日ヤフーで記事化したとあるニュースを絡めて
お話していこうと思います。「仕事で悩みがある」72.5%
今回のアンケートの第32問目に、
こんな質問を設けました。「仕事で悩みはありますか」
一般則と比べたくて、
厚労省が取っているデータを見たんですが、
データの取り方に違いがあって比較できず…なのでトラックドライバーだけが
特段悩みを抱えているかはちょっと分かりませんが、
今回のアンケートでは72.5%のドライバーが
「仕事で悩みがある」と回答しました。が、この数字よりも個人的に気になったのが
次の問いで聞いた「悩みの原因」でした。最も多かった悩みの原因は「給料に対する不安」
次に多かったのが「将来に対する不安」
でした。
(表の拡大はクリック・タップ(でできるはず))一方、このアンケートを取り始め、
じわじわとこの「将来と給料に不安がある」
という傾向が出始めてきたころ、
ある衝撃的なニュースが。それが、先日Yahoo!ニュースに記事化した
「89歳の現場事故死」です。建材会社で事故死した89歳作業員は仕事に「生きがい」を感じていたのか
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/dc30b0e2f1c6569cbf228101eeeca515cae822bb建設業界の人ではありましたが、
89歳にまでなって現場で働き、事故で命を落とす。
なんて世の中なんだと。このニュースに対し、
多くのブルーカラー職の従事者からは「89歳で現場に立たないと生きられない社会」
「明日は我が身」というコメントが多く見られました。
私はこの
89歳になっても現場で仕事をする将来が、
今回のアンケートで
「将来」と「給料」に対する不安の声と重なったんですよね。。長年ブルーを取材している身からすると、
この超高齢の89歳のような労働者が
今後現場に増えていく気がしてなりません。89歳にとって現場労働は「生きがい」だったのか
一方、89歳の現場労働の過酷さを想像できない、
または現実を受け入れられない
一部の業界内外の人たちからは「89歳でも生きがいがあったからじゃないか」
「この人がどんな人生を送ってきたか分からないから擁護できない」なかには
「死ぬ日まで働けたのは男子の本懐」
「89歳まで働いて世の中に貢献したこの人は素晴らしい」という声まであり、個人的には絶句してしまった。
また、
「自分のところは80代の社長がバリバリやってる」
という声もいくつか見られたんですが、
雇う側と雇われる側を一緒にしてはいけない。
自分の裁量で仕事量や内容を決められる社長と
従業員とではワケが違います。当然、元記事からはこの89歳が
その歳まで働いていた本当の理由は
うかがい知ることはできません。が、私は仕事が生きがいだったら
89まで現場に立っていいとも思っていない。
それがたとえ経営者でもです。現場にとって、89で現場に立たれると
マイナスになることはあっても
プラスになることはあまりありません。どれだけベテランでも、
89になると筋力や判断力が衰え、
若手よりも事故は起こしやすい。そして、若手の成長を助けているようで
阻害することにもなり兼ねない。ブルー職は門戸は広く人を選ばないが、
誰でもできる仕事ではない。この「誰でもできる仕事ではない」は、
世間が思っているより実は狭義で、腕、忍耐力だけでなく「年齢」も大きく影響してくる。
それが「ブルーカラー」という世界だと思っています。
その観点からいえば、
個人的にはたとえ仕事を生きがいに感じていても、
そしてその人が社長であっても、
89歳という超高齢者がブルーの現場に立つことは
非常に慎重になったほうがいいと思っている。「自分の生きがいである仕事を捨てろというのか」
という声が飛んでくるかもしれないが、
だから、だーかーら、私は普段からブルー各位に「1日でも早い『リスキリング』をしたほうがいい」
と口酸っぱく言っているんです。
リスキリングとは
リピートとか
リプレイとか
リダイヤルとか「リ(Re)」には、
「再」という意味があります
(英単語全部に共通するわけではない)。「スキリング」というのは
「スキル(技術)」に英語の「ing(すること)」を付けた言葉です。つまり、リスキリングとは
再び学ぶこと、「学び直し」を意味する言葉になります。余談やが、孫正義さんの弟さんの
孫太蔵さんは、リスキリング不要論を唱えています。が、彼はIT畑の人。
ITではChat GPTが席巻しており、
もはや真っ先に機械に仕事を奪われる職業になりつつある。そのため、IT×ITをやっても意味がないんです。
が、ブルーは違う。
「現場」×「何か」
は、今後非常に強みになると思っています。
生きがいは仕事以外でも得られる
なんでここまで私がブルーカラーに対して
リスキリングが大事だと言っているのかというと、
肉体労働には限界があるからです。以前にも&今回の記事でも指摘しましたが、
トラックドライバーの中には手荷役を誇る人がいる。それを自分の存在意義だと頑なに信じ、
「手荷役は武器になる」とか訳の分からないことを言ってる人がいる。しかしその手荷役、89歳までできますかね?
「武器だから」と、「生きがいだから」と、
現在と同じパフォーマンスを10年後保証できるんでしょうか??本来、「生きがい」というのは
仕事でしか得られないものではありません。趣味や別の目標を持つことでも
生きがいは実感できます。本当に社会貢献で生きがいを得たいならば、
ボランティアでもいいはずです。そうではなく「働くことに生きがいを感じている」
というならば、それは「給料がほしい」、
という生きがいよりも強い願望が
てっぺんにあるからにほかなりません。年齢で仕事が左右しやすいブルーカラー各位には、
その年齢になってしまう前に、「別の生きがいを見つける必要がある」
と強く思っています。
肉体労働での「やりがい」は権力の思うツボ
ずっと手荷役に対して誇るなと言ってきているが、
誇る人たちの気持ちはめちゃくちゃ分かります。現場の多くが手荷役しかり、
過酷労働を自分自身の大きな存在意義の1つとして構築してきたんですから。
私自身も、元々ブルーにいた身。
その世界でしか生きられない時にすがったのは、
やはり自分の体力でした。しかし今できることが10年後できるとは思わない方がいい。
そして、その過酷労働を美談にすることは、
結果的に「死ぬ日まで働けたのは本懐」
という極論にいきつき、
それは結果的に「やりがい搾取」に繋がることになる。大型トラックドライバーの平均年齢は
50.9歳。将来に不安を感じている人、
給料に対して不安を感じている人は是非、1日でも早いリスキリングをしてみてください。
それは、現在の仕事を捨てろと言っているわけではない。「並行して『保険』をつくっておけ」
と言ってるんです。
私はその保険を若い頃からたくさん作っておいたおかげで
自分自身、精神的に大分楽に生きられると思っている
(だからすごいなんて思ってません)。「リスキリングつったって何をすればいいんだ」、
という人は、いつでもご相談ください。カウンセリングなどからご自身に合った方向性などを
一緒に考えることもできますから。現場の人たちが、
今回の89歳のようなことになってほしくない。
心の底から応援しているどv
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プロフィール
橋本愛喜
フリーライター。
元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許を取得後、トラックで二百社以上のモノづくりの現場を訪問。
ブルーカラーの労働問題、災害対策、文化差異、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆中。
各メディア出演や全国での講演活動も行う。 -
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