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配車女子 とら子の「一配一会」
利用運送手数料を荷主が負担する!?を調べてみた。
2024年10月28日
今日Xを開いたら
「利用運送手数料を荷主が負担する~なんちゃらかんちゃら~」っていうポストが2つくらい一気に出てきて「どういうこと?」って不思議に思ったのでどういうことなのか調べてみました。
利用運送手数料とは?
そもそも利用運送手数料って何?って話なんですよね。
私ら配車からすれば「うちのもらい」っていうやつがそれ。それをちゃんと言葉にするとこのようになります。
「元請け事業者が下請け事業者に仕事を振った場合に、運賃とは別に収受する手数料」
今までの取引では、運賃から間に入る事業者の利益を取って骨の髄までしゃぶりつくされた運賃しか実運送会社には入らなかったわけですが、この記載を見ればわかるように、利用運送手数料は運賃とは「別物」として考えていこう、とされています。
で、これはどこでどう定められたのか、という話なんですがこれは国土交通省の「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」で検討されている内容です。
標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会って何?
ということで今からその会議の提言読んでくる!ちょっと待ってて!
はい、お待たせ。
令和5年12月15日付の公表提言を読んできました。
途中まで読んで気づいたんですが、これ私が公聴人として出席させていただいた会だったwwwww
標準的な運賃と運送約款の見直しをするための会でした。名前通り。笑
で、この標準的な運賃公示についての中で「利用運送手数料」が明記されているわけで(初めての明記)そこにはこのように記載されています。
「利用運送手数料は運賃の10%を当該運賃とは別に収受」
公聴会の時はイメージが全然沸いていなかったんですが、図にするとこういうことになるんだろうと思います。
つまり、実運送事業者以外は運賃に手を付けず、利用運送手数料から利益を取る、というもの。
荷主側として支払う手数料は運賃の10%のみ、なので利用運送手数料からより多く利益を取ろうと思うと実運送事業者までの間を短くする必要がある、だから多重下請け構造を解消できるようになる。
という考え方なんだろうと思います。
つまり、利用運送手数料を荷主が負担する、というのはこういう仕組みのことを言っていたわけですね。
運賃はどのような形で実運送事業者まで保証されるのか、という点は明記されていませんでしたのでここはまだ検討段階ということだと考えられます。
そして、この運賃は公示された「標準的運賃」を基に計算していくべき、ということが提言に書かれています。
運賃交渉における公的資料としても「標準的運賃」は参考資料となる、とも書かれていますので今後はこの運賃表をベースに交渉していくことも可能になります。
最低賃金上昇率、春闘労使交渉の妥結額と同じ根拠になると考えてよさそうです。
正確な情報を正確にとらえていく必要性
今回、SNS上で「利用運送手数料を荷主が負担」というポストを見かけて色々調べてみたところなんですが、正確な情報を正確に自分のものにしていくためにはやはり自分で調べるしか方法としてはありません。
調べる方法としては
①国交省が出している資料を読む
②トラック協会、地方運輸局、国交省窓口でわからないことは聞く
③士業の方に質問する、もしくは書かれている書籍やWEBページを確認する
が手段となります。
SNSで〇〇が言っていたから正確な情報だ、というのはあまり安全な情報収集方法ではありません。
なので、私がこのように伝えていることもほんまか?と疑ってかかってもらって大丈夫です。
そして間違っていたらぜひ教えていただきたいと思います。
発信をする、ということは発信したことに対するフィードバックを受け取る覚悟も必要だと常々思っていますのでこれは違うのではないか、これはこのように聞いている、などがあればぜひご教示ください。
よろしくお願いします。
利用運送手数料の落とし穴
調べたこと、調べた上で感じている情報収集方法について長々書きましたが、
利用運送手数料収受も、定着するまでかなり長い時間が必要になると思われます。
現状、利用運送の手数料は各社で設定が異なります。
20%の会社もあれば5%の会社もあるし、その時々の運賃に対していくら手数料もらうかどうかという部分には人間的なつながりが如実に表れています。(例:「この運賃安いねんけど、行けるかな?」「ええよええよ、今回1,000円でええわ」とかいうやり取りが配車マン同士の繋がりを強くしている場合もある)
それに「儲け」をどれだけ取れたか、儲けを出してどれだけ実運送会社さんに利益も渡せたか、というのが配車マンの仕事をやる上でのやりがいでもあり、その喜びを取り上げてしまうことになってしまいます。
仕事への探求心や楽しさをどこで感じられるようになるのか、もまた配車マン自身が考えていかなければならないようになると思います。
運送業は人と人とのつながり合いの仕事でもある。
だから人間味のあるアナログな感性を残しておきたい、という気持ちは私にはありますが
実際に運行してくれる会社さんが十分に利益を残せるような仕組みも必要だとも思うしでかなり複雑な気持ちにはなります。
何かを得たいなら何かを捨てなくてはいけない、という理論になるのかもしれませんが
まずは現場で働く人たちが満足のいく対価を得ることが最優先。
利益を得る、だけではない配車マンの仕事の矜持を見つけていきたいと思います。
ただ、今回のこの記載については「令和6年6月1日改正新しい標準貨物自動車運送約款」を使用する会社に限っての措置になります。
なので、この約款は使いたくないということであれば独自約款を作成し、運輸局へ届出て、認めてもらえれば適用外となります。この辺りの詳しいことは「トラサポ」さんのサイトをご確認ください。
「現場の声」は意外と届く
今回の提言や検討会の議事録、答申書などを見て思ったのは
現場の声ってめちゃくちゃちゃんと届いている!!ということです。
今年の2月に公聴人として出席した時の意見書を提言書と比べて見てみると、標準的運賃の見直しについて意見させてもらったことがしっかり明記されていました。
これはおかしいんじゃないか、現場に合っていないなどあればぜひとも声を上げて伝えてほしいと思います。
「現場の声なんて届かない」のではなく「現場の声が聞きたい」人が実は結構いるということもわかります。
トラックドライバーも配車も経営者も皆忙しい。でもその中で伝えてくれる言葉の重みはとても重たいし重要なことが盛りだくさんなんです。
私なんかよりはるかに経験値の高い人たちが沢山いるからこそぜひとも声を届けてほしいと思います!
今日も今から運行の方、沢山いらっしゃると思いますがくれぐれもご安全に!
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プロフィール
とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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