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配車女子 とら子の「一配一会」
ルールのない運送業
2025年2月21日
タイトルを見て「おう、お前、運送業なんかルールばっかりじゃねえか!」とお怒りの皆様、ごきげんよう。
ルールばっかりの運送業でルールがないなどと言ってしまってごめん。
ルールや法令順守、法律でガッチガチの運送業に対して失礼千万なことはわかっている。なんならそんなことは百も承知である。そんなルールに縛られながら仕事をしているんだもの。息をするのと同じくらいわかっている。
でもね、私が今日言いたいことはこれ。
判断しなきゃいけない場面で使えるルールがない
ってこと。
つまりね、通常の運行による労働時間や休息時間、430休憩にはしっかりルールが決められているんだけど
イレギュラーが起きた時、運送業務自体の運行可否を決めるのが誰かというルールがない、ということです。
2月18日に襲った寒波でまた高速道路や国道の予防的通行止めが発生しましたよね。
この時に実感したわけです。
この一大事に「今日運行させるか止めるか誰が判断するの!?」って。
運送会社の配車マンは「荷主さん次第」でのらりくらりですし
荷主さんにしたら「できれば走ってほしいですけど・・・」という温度感。
だれも決められない現場を嫌というほど見ました。
なんなら国や道路公団も「20時から通行止めにするかも!今時点ではわかんないけど!てへ♡」だったんですよね。
自然相手ですからどうなるかなんてわかりません。
だけど、不要不急の外出や運送計画を止めてくださいというのであればまずトップが明確に指示を出さないとこちらは決めれないことすら理解されてなかった。
わかるはずなのに。年齢的にも経験的にも体感的にもわかることなのに「責任を取りたくないから」決めなかった。戦略的沈黙を貫いたんでしょうがそれはただの【無責任】です。ダサいです。
ま、そんな上の人たちの愚痴を言っても仕方がないので話を戻します。
現場で判断する役割が誰であるのかを明確にしていないルールがあるので有事の際、誰の指示に従っていいのかとなると「金を払っている人の指示」が最優先となります。つまりお客様、荷主さんや元請けさんですね。
ですが、この方々は運送については素人です。
素人は黙っとれ、のあの素人です。
なので指示通り運行を予定してドライバーを出発させようものなら通行止めで足止めをくらい、納品は延着し、帰庫すらできず、翌日の運行すらできない、というしっちゃかめっちゃか状態になる可能性が非常に高い。そして何より、トラックがスタックした、事故に遭ったとしても彼らは責任を取らなくて済むのでリスクは負いません。
運行可否は運送会社しか決めれんだろ
なので、運行の可否は運送会社が決めてその指示に荷主さんは従うが一番正当ではあるんですよね。
だって我々は運送のプロですから。
運行計画立ててますから。
労働時間も守らなければならないし休息も取らせないといけないしそもそも論でドライバーを危険にさらしてはいけない。
荷物を届けることも大事ですが、現行法における優先順位はコンプライアンス、法令順守に傾いているわけでリスクを冒してまで走らせられないが主流な考えになってきています。
コンプライアンス遵守、法令順守には神経質なほど厳しい世の中になりましたからね。
ベテランのドライバーさんとは私はよくこの件で言い合いをします。
「それでも届けるのがドライバーや」とおっしゃる方もいらっしゃってなんてかっけえんだよ!と思う反面、運送会社で働く人間としては止めざるを得ない。
中々辛い判断ではありますが「ダメです」と言わないといけない。
だけど、それで守れるものがあるなら守りたいわけでその日の運行分のお給料は有給処理をしてもらう。そして走れるようになったら全力で仕事をがんばってもらう。それをサポートするのが仕事だと思っています。
運行ストップ判断をした人を責めてはいけない
ルールを決める、ということは責任を取る誰かを決めるに等しい。
そのため、責任を持って判断した人を責めてはいけません。
通行止めにならなくても、警報級の結果にならなくとも、です。
ただ、現状でルールがないですし運送会社で決めるからしたがってね!という暗黙のルールもありません。
なのでここで大切なのが「運送業務契約」という独自ルールの作成です。
国や自治体、協同組合がルールを決められないのであれば自社でルールを作ってしまう。
自社ルールに沿って業務が円滑に進む環境を整えていくことが大切になります。
誰もしてくれない、じゃなく
どうすればできるだろう、を考えていかないと2024問題以降の運送業は継続できません。
矢印は常に自分に向けておく。
これがとても大事だと思っています。
まとめ
新物流2法の制定に伴い、事業免許更新の議員立法が着手され、運送業を取り巻く環境は日々変化しています。
もう昔とは違います。
「どうすればいいのか」を自分で考えていく必要が出てきました。
ルール一つとってもそう。
イレギュラーの時、責任を持てるかどうかを自分に問いかけてみてください。
できるのであればやってみましょう。
できないのであればできる方法を考えていきましょう。
そうやって前に進んでいくことで運送業はこれからも継続していきます。
できるのは私たち業界の中の人たちしかいません。
頑張りましょう。
今が踏ん張りどころです。
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プロフィール
とら子
トラック運転できないAT限定免許配車マン。
トラックは街の風景だと思って過ごしてきた学生時代。 けど今はドライバーさんのおかげでご飯食べれています。
配車はドライバーさんと荷主の緩衝材。 目の前の利益より損して得取れ精神で配車係やらせてもらってます。 -
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コメント
運送、特に緑ナンバーであるということは、「他人の需要に応じ有償で貨物を運送する」(一部略)と言うこと。まさに貨物自動車運送事業法の文言通り。
これが難しいポイント。
製造業が製造を停止するのであれば、自社の売上が下がる。
運送業が運送を中止するということは、すなわち他社の売上にかかわる。
もちろん人命等々、誰かの売上なんてものより大切なものを守らなくてはならないのだが、他社(他者)のモノを扱う以上、自責を問われないようにする心理が働く。そして、関係各位がすべて他責で成り立っている(他者のモノを運ぶ・他者にモノを運ばせる・他インフラに乗っている)からこそ、自責ですべてを全うできなくなっている。
ジャネエカナアアアアアアw